Thursday, February 24, 2011

釈徹宗

仏教は因果律に基づいています。いかに仏教にバリエーション多しといえども、これだけははずすわけにはいかない、というほどの仏教における基本的立脚点です。ご存知のように、因果律とは、あらゆる現象や存在には原因がある、原因があれば必ず結果があるという原則です。この法則に例外はない、ということで仏教は成り立っています。因果律の立場もいろいろあるんですが、仏教の因果律は縁起という相互依存性を強調するところに特徴があります。

さて、仏教で縁という概念は事象成立の条件です。また、原因と結果という主要因に関わる、二次的要因と考える場合もあります。いずれにしても、あらゆる事象は、さまざまな要因が複雑に絡み合い、一時的に成立したり存在したりしている、と認識します。言ってみれば、認識するための仮説モデルなんですね。この認識モデルによって、さまざまな現象や存在を分析すれば、生きて行く上での苦は克服される、とシャカは考えました。

ところで「親の因果が子に報い…」というフレーズがありますが、間違っています。正確には「親の因が、子に果…」といわねばなりません。でも親の因が、子に結果として出るというのはねじれた仏教思想です。本来、自因自果といって、自分のまいた種が自分にふりかかるのが因果律ですから。つまり、自らの行為や思考が、自らの未来を形成していくわけです。

このように、仏教では宿命論や神の意思による決定論ははっきりと否定されます。

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