現存する法隆寺は、塔と金堂が"東西・横並び"で左右非対称、真ん中に空白がある伽藍配置になっています。 。。。 日本独特の「空間の美」、「余白の美」がありますね。
例えば、大陸の宗教建築物や宮殿は、中心に建物が威風堂々と連なり、左右対称のものがほとんどです。しかし、法隆寺のように真ん中が空白の状態であると、感情移入がしやすいのです。老子も、器の本質は「うつろ」な部分にあるといっていますが、大陸の建築物以上にこれを表現しているのが法隆寺といえます。人を迎え入れる優しさが、法隆寺にはあるのではないでしょうか。
日本の風土にも関係すると思うのですが、島国で地形が小刻みであり、四季の変化もはっきりとしている。時間的にも、空間的にも変化に富み、こうしたことが細やかな感性を育んできた。
日本人は穏やかな環境の中にあるので、自然に対抗する秩序をつくるのではなく、自らを取り巻く環境に身を委ねるという、やわらかな感性が育ったのだと思います。茶道や華道、書や絵画、そして庭園にも通じるものですね。そういう日本文化の特質が、初めて伽羅に現れた。それが法隆寺なのだと思います。
「空白の美」の原点、法隆寺の謎を解く
ReplyDelete武澤 秀一