土屋賢二

決心しなければ挫折は避けられる。だが、決心しないと限りなく堕落して自分でも耐えられなくなるから、どうしても決心してしまう。当然、決心の内容は、早起きしよう、家の中を片づけよう、ダイエットしよう、真面目に仕事をしようなど、建設的なものになる。だが人間は建設的なことができない。だから挫折してしまう。人間は自分のためになることが分かっていることを実行できないのだ。

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たぶん人間はシミ一つない清らかな生活には耐えられないのだ。清廉潔白で気高い自分など、嘘っぱちのような気がしてしまい、ぶちこわしたくなるのだ。人間には光の部分と闇の部分があり、空高く飛翔することもあれば、泥の中をはいずりまわることもある。その両方がないと生きて行けないのではないかと思う。

人間には心を洗う天上の音楽も、泥臭い音楽も必要なのだ。決意したら挫折し、堕落したら挫折する、という繰り返しは必然なのだ。