「近いうちに」という言葉が連日、新聞紙面で取り上げられている。食事会の席で中国の友人とこの話題になった。といっても彼が聞きたがったのは、衆議院の解散時期ではない。「近いうちに」という言葉を使うときの日本人の感覚について、である。
「近いうち、とは具体的にいつを指す言葉?」と彼は熱心に質問する。曖昧な表現で会話が成立する日本人が、彼には不思議に見えるようだ。
言葉の話し手と受け手の感覚のズレ。これを「基準の感覚差」と言う。異文化研修では必ず取り上げるテーマである。つまり、話し手と受け手のモノサシが一致しているかどうか。
異文化間では双方のモノサシがずれていたりして、認識のズレが生じ、これがコミュニケーションギャップを引き起こす。
日本人は言うべきことをはっきりと言わないことが多い。日本人同士のコミュニケーションでは互いに空気を読み、相手が期待していることを考える。だからコミュニケーションギャップは生じない。しかし、中国人を相手にする場合は言うべきことははっきり言うべきだ。これがコミュニケーションギャップを未然に防ぐポイントである。実は日本人同士でもそう心がけたいのだが。
「近いうちに」っていつ? “曖昧”な日本人と“察しない”中国人
ReplyDeleteby 吉村章
http://sankei.jp.msn.com/world/news/121029/chn12102911010000-n1.htm
「近いうちに」という言葉が連日、新聞紙面で取り上げられている。食事会の席で中国の友人とこの話題になった。といっても彼が聞きたがったのは、衆議院の解散時期ではない。「近いうちに」という言葉を使うときの日本人の感覚について、である。
ReplyDelete「近いうち、とは具体的にいつを指す言葉?」と彼は熱心に質問する。曖昧な表現で会話が成立する日本人が、彼には不思議に見えるようだ。
言葉の話し手と受け手の感覚のズレ。これを「基準の感覚差」と言う。異文化研修では必ず取り上げるテーマである。つまり、話し手と受け手のモノサシが一致しているかどうか。
異文化間では双方のモノサシがずれていたりして、認識のズレが生じ、これがコミュニケーションギャップを引き起こす。
ビジネスの現場でもよくある。田中さんが陳さんに資料のコピーを頼んだ。「陳さん、悪いけど時間があったらコピーやっておいてくれない。すまないが、急いでいるんだ。できるだけ早くね」と田中さん。このように田中さんは「時間があったら」とか、「できるだけ」という言葉を使って相手の気持ちや仕事の状況に配慮する。
相手が日本人であればそれでもよい。時間や期限をはっきり伝えなくても、頼まれた側は場の空気を読んで判断する。田中さんの表情や指示の仕方で、どれほど急いでいるかを考える。頼む側もはっきり時間や期限を言わなくても、相手に察してもらうことを期待するのだ。
しかし、相手が中国人では難しい。例えば、田中さんの期待する「早く」は5分だとする。もし、陳さんが10分後にコピーを持って行ったら、「何やっているんだ。遅いじゃないか」と田中さんは眉をしかめる。「気が利かないな」と陳さんは小言を言われることになるかもしれない。しかし、田中さんは「5分」と時間を区切ってはいない。漠然とした曖昧な指示の仕方をしている。
日本人は言うべきことをはっきりと言わないことが多い。日本人同士のコミュニケーションでは互いに空気を読み、相手が期待していることを考える。だからコミュニケーションギャップは生じない。しかし、中国人を相手にする場合は言うべきことははっきり言うべきだ。これがコミュニケーションギャップを未然に防ぐポイントである。実は日本人同士でもそう心がけたいのだが。
吉村 章
ReplyDeletehttp://www.crosscosmos.com
Taipei Computer Association(TCA) 東京事務所 駐日代表
NPO法人アジアITビジネス研究会 理事
独立行政法人中小企業基盤整備機構 国際化支援アドバイザー
日本企業の中国進出や技術アライアンス、ビジネスマッチングのサポートが主な業務。アジア最大のコンピュータトレードショウであるCOMPUTEX TAIPEI の主催機関に在籍し、PCや通信分野などIT分野での台湾からの製品調達など支援も行う。
大学卒業後、日本語教育機関から台湾へ赴任。現地では対外貿易発展協会培訓中心(現TAITRA)などで講師を勤めた後、1996年に台湾最大のIT関連業界団体であるTCAへ移籍。駐日代表として帰国、現在に至る。
2003年からは中国に進出する日本企業を対象に赴任者向け研修の講師を務め、現在では自身の中国での経験やノウハウを体系化した「中国ビジネススキルアップ研修」を実施。異文化理解を基本としたDo’s&Dont’sプログラムや参加型の研修内容に定評がある。