Sunday, November 18, 2012

志位和夫

日本のテレビには、ある異常な特徴があります。それは、大手新聞社とテレビ局が完全に系列化されているということです。これをクロスオーナーシップといいます。放送メディアと新聞メディアという異なるメディアを、単一の営利企業が独占するというやり方です。
実は、このようなクロスオーナーシップは、欧米の先進国では見られないものなのです。なぜかというと、放送メディアと新聞メディアは、互いにチェックしあう必要があると考えられているからです。
世界で一番新聞がたくさん発行され、全国的規模で大手新聞社がクロスオーナーシップで系列のテレビ局に支配権をもつ。こういうがんじがらめの巨大メディアの構造ができあがっている国というのは、欧米の先進国には他に見られない異常なものなのです。
そういう形で、国民世論に圧倒的な影響力をもつ日本の巨大メディアが、権力のチェック役というメディア本来の仕事を果たしているでしょうか。率直にいってそれを放棄してしまっている。チェック役どころか、権力と一体化している。ここにたいへん深刻な問題があります。

2 comments:

  1. 日本の巨大メディアを考える

    by 志位和夫

    http://www.jcp.or.jp/akahata/web_daily/html/2012-media-panf-shii.html

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  2.  日本のテレビには、ある異常な特徴があります。それは、読売新聞は日本テレビ、産経新聞はフジテレビ、朝日新聞はテレビ朝日、毎日新聞はTBS、日経新聞はテレビ東京というように、大手新聞社とテレビ局が完全に系列化されているということです。かなりの資本を新聞社がもっていて、株主として支配力を発揮している。大手新聞とテレビは、こういう関係にあるのです。これを「異業種メディアの所有」(クロスオーナーシップ)といいます。放送メディアと新聞メディアという異なるメディアを、単一の営利企業が独占するというやり方です。日本ではこれが大手新聞と全国ネットのテレビとの間で、全国的規模でおこなわれています。

     実は、このような「クロスオーナーシップ」は、欧米の先進国では見られないものなのです。なぜかというと、放送メディアと新聞メディアは、互いにチェックしあう必要があると考えられているからです。放送メディアが暴走したら、新聞メディアが抑える。新聞メディアが暴走したら、放送メディアが抑える。お互いにチェックすることが必要だと考えられています。「クロスオーナーシップ」では、そうした言論の相互監視、相互チェック機能、言論の多様性が失われる危険がある。

     ところが日本では、「クロスオーナーシップ」が極端な形でおこなわれ、5つの大手全国新聞とその系列のテレビ局が同じ方向の内容の報道を、相互チェックもなく流し、国民の意識に圧倒的な影響を与えている。

     これが日本の巨大メディアの現状です。世界で一番新聞がたくさん発行され、全国的規模で大手新聞社が「クロスオーナーシップ」で系列のテレビ局に支配権をもつ。こういうがんじがらめの巨大メディアの構造ができあがっている国というのは、欧米の先進国には他に見られない異常なものなのです。

     そういう形で、国民世論に圧倒的な影響力をもつ日本の巨大メディアが、「権力のチェック役」というメディア本来の仕事を果たしているでしょうか。率直にいってそれを放棄してしまっている。「チェック役」どころか、「権力と一体化」して、古い体制の「守護神」のようになっている。ここにたいへん深刻な問題があります。

     私は、ここで日本の巨大メディアを、欧米のメディアと比較してみたいと思います。もちろん、欧米諸国のメディアも時の支配勢力の影響や制約を受けています。そこにはいろいろな問題点があります。ただ、そういう影響や制約を受けつつも、「権力のチェック役」としての役割をさまざまな形で果たしてきていることも事実です。

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