Saturday, November 13, 2010

坂井三郎

私はご覧の通りあの戦争で片目を失いましたが後悔などしていません。ただあの戦争で実に多くの優れた仲間と部下を失ったことは痛恨であります。しかし彼等には年に必ず二度靖国神社で会って、その都度報告しています。貴様たちの死は決して無駄ではなかったぞ。あの戦争のお陰で、世界はあきらかに発展して良くなったのだからなと。
(その途端聞いていた白人の記者たちの間に得も言えぬ空気が醸しだされるのがわかった。ベテランの撃墜王はそれを察して、実ににこやかな笑顔を浮かべ直し、重ねて諭すように、)
だって皆さんそうじゃありませんか。あの戦争の後国連に新しく誕生した国が数多く参加しましたな。今までに確か七十数ヶ国あります。しかしその中に、白人の国を探せば、正確には違うかも知れないが、強いていえばイスラエルただ一国だけです。後は皆かつて植民地支配を受けた黄色、褐色、黒色の民族が独立を果たし、一人前の国として認めれる事になった。これ即ち人類の進歩に違いない。そしてその事態を抱くために あの戦争は大いに意味があったということは、誰も否定出来ますまいに。

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