罪人を絞罪の刑に処すると云う事は重にアングロサクソン民族間に行われた方法でありまして、それより古代に溯って考えますと首縊りは重に自殺の方法として行われた者であります。猶太(ユダヤ)人中に在っては罪人を石を抛げつけて殺す習慣であったそうでございます。旧約全書を研究して見ますといわゆるハンギングなる語は罪人の死体を釣るして野獣または肉食鳥の餌食とする意義と認められます。ヘロドタスの説に従って見ますと猶太人はエジプトを去る以前から夜中死骸を曝されることを痛く忌み嫌ったように思われます。エジプト人は罪人の首を斬って胴だけを十字架に釘付けにして夜中曝し物にしたそうで御座います。……波斯(ペルシャ)人はどうかと申しますとこれもやはり処刑には磔を用いたようでございます。但し生きているうちに張付けに致したものか、死んでから釘を打ったものかその辺はちと分りかねます……
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