Wednesday, September 19, 2012

中野雅至

今や日本は「格差社会」から「衰退社会」に突入した。

第1章 今やなつかしい格差社会
第2章 そして日本からは「勝ち組」がいなくなった?
第3章 衰退社会の恐ろしき負のパワーと対立軸
第4章 衰退社会で最も嫌われる「既得権益者」とは誰か
第5章 衰退社会2.0に辿り着くまでのプロセス
第6章 最も恐ろしい目に遭う中途半端な勝ち組の金持ち
第7章 日本を脱出できる人材ってどれだけいるのだろう
終章 衰退社会とカオス化の行方

1 comment:

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    レビュー
    5つ星のうち 1.0

    自身のバッシング、に対するアンチテーゼなのか
    by Herr HET

    「満つれば欠けるは世の習い」なのは当たり前で、繁栄が永続した試は、世界中未だかつて存在しない。日本も「高度経済成長」が永遠に続く訳はないのであり、成長はいつか鈍化し停滞から衰退に向かう。その自明の事実に直面し、しかし高度成長の甘美な思い出から抜け出せぬ人々が、やれ「失われた十年」だ、「格差社会」だ云々して大騒ぎをするのである。バブル時代を生き抜いてきた、自称する著者の中野も、その想いから抜け出せぬらしく、現状の社会が20年後どうなるか、シミュレートした本、だと思って手に取る向きには注意が必要な内容である。
    冒頭経済成長が停滞し格差社会に至る流れを、様々なグラフや図を基に解説する件は、紋切り型ではあるがまだデータの基づいている部分納得はできるが、いざその格差社会が進展すると、もっとひどい衰退社会・カオス社会が到来する、という第4章以降の内容は滅茶苦茶であり、データにも資料にも基づかない中野の単なる憶測と思い込み、だけの仮定が延々と語られ呆れかえる、内容である。それも具体的な資料や論理に従った近未来のシミュレート、とは全く無縁の、中野の妄想としか言いようのない「日本の悲惨な近未来」が語られ、「20年後の日本はこんなにヒドイ国になるんだ」という話が、何らの具体性も真実性もなく語られる、様は醜悪を通り越して滑稽な程である。特に「パイの奪い合いが激化して少ないパイの権利に固執しジリ貧化する」「ベーシックインカムの導入で、月20万円の収入を皆が手にする反面、人は働かなくなる」などもはや笑い話の領域で、カリカチュアとしてもセンスが疑われる内容である。中野も本気で書いている、とは思いたくないが、もし本気でこんなことを考えているのだしたら精神を疑われる語り部である。TVのバラエティ番組のように、ヤラセと仕込みが横行する虚構の世界だ、と笑って読めばいいのかも知れんが、週刊誌や漫画ならいざ知らず、新書に書くような内容とは到底思えぬ、中身である。あるいは中野が執拗に繰り返す、「日本人の公務員バッシング」批判は、自分が労働省時代受けたバッシングに対するルサンチマンに起因するものかもしれない。だからその解決策で、「公務員を増やすべきだ」などという馬鹿な結論に達するのであろう。
    社会は繁栄した後には必ず衰退が訪れるので、これはトインビーだって指摘していた当然の事実である。日本だって例外ではなく、経済成長・バブル経済の後に来るのは衰退に決まっている。ただその衰退が、中野の言うような格差社会→衰退社会→カオス社会、に転落する謂れはどこにもない。どんなに経済が衰退したって、中野の言うようなカオス社会が、発生する状況は存在しない(イラクだってアフガニスタンだって、こんなカオス社会にはなっていない、んだからね)。中野は滑稽なまでに絶望的な近未来を書いた挙句、最後のその処方箋を提示して見せるが、それはそれまでとは打って変わった抽象的な内容で、「道州制の実現」「所得倍増計画」「マネーフローの尽力」など、どうやったら実現可能なのかわからない机上の空論を並べ立てて話を終えているのも、「結局何が言いたいんだ」と言いたくなるお粗末な内容である。問題は衰退に向かう日本の現状を前に、いかに諸問題に関しソフトランディングして摩擦を防ぐか、という現実を前に、悲観論を並べ立てて醜悪な近未来を提示し、解決策は抽象論を並べて逃げているだけの愚劣な内容である。
    「優秀な人間は日本を逃げ出す」ことの例に、布袋寅泰がロンドンに移住した例を挙げているが、布袋がロンドン行きを決意したのはずっと以前からの話であり、日本の音楽シーンに絶望したからでも日本で認められない、からでもない。要は何も知らずに話をこじつけただけであり、中野の無知をさらけ出した、だけである。或いは本の中で、「自分はテレビ・マスコミに引っ張りだこで忙しい」ような言い方をしているが、私はTVやその他媒体で、この男の名前を聞いたことはない。それもこの本の予言と同様、中野の「妄想」ではないのだろうか。

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