Monday, November 12, 2012

阿部謹也

我々は自分の世間というものを考えてみるといいんですね。会社は世間です。しかし1つの世間ではありません。会社の中に幾つもの世間がある。だから新入社員には私は言うんですが、お前はあの会社に入ったって、あの会社に入ったと思うな。まずその会社のどの世間に配属されているかということが分かるまでは黙っていろ。自分の意見を出すな。きちっと応答し、礼儀正しく振る舞え。自分がどこの世間にいるかが分かり、自分の番が来たら発言しろと。あとは自分の責任でやれと言うんです。
そういう組織で自分が例えば、自分がいた組織のことを思い浮かべたときに、何が残るか。「人」なんですね。人ばっかりなんです。我々は世間の中で何を見ているかというと、人しか見ていないんですね。人しか見てなくて、歴史なんか見てないんですね。だから人の関係だけが世間なんです。

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