Thursday, September 9, 2010

下條信輔

人はあるものが好きだからそれを見る、という側面もむろんあるでしょうが、見るからますます好きになるのです。このふたつの因果関係の経路は、ちょうどポジティヴ・フィードバックの関係にあって、互いに促進し合います。そしてそれがある閾値(限界の値)を超えたときに、好きという意識的な感情や判断が芽生えるのでしょう。
現代社会は過剰な刺激に満ちている。直接快楽を刺激する音楽と映像。絶え間なくメッセージを投げかけるメディアやコマーシャル。それらは私たちの潜在脳に働きかけて、選択や意思決定にまで影を落とす。が、私たちはそれを自覚しない。意識下にある情動・認知系への介入は、意識レベルでは認識されないからだ。

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