Friday, September 10, 2010

山田太一

河合隼雄は「色即是空」をよくよく理解しているのであろう。我われがとらわれている「色」=数字(偏差値、年収、資産、友人の数、交際異性の数)など、本当はまったくさらさら「空」=無意味に過ぎないことを。しかし、そうは言っても、凡人はなかなか出家や遁世などできないから、「空即是色」とふたたび騒がしい日常生活に戻ってきて、俗物とおのれを恥じながらも現世に少なからぬ楽しみがあることを肯定する。
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まったく、人生、醒めてしまえばなんの意味もないかもしれず、私たちはなんとかその無意味にさからって、あの手この手で「おはなし」を手に入れ、気力を保っているのであろう。
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私は河合さんに覚めた目があるからこそ著作を信用し、その河合さんが醒めているだけではないことに励まされている。

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