Wednesday, August 22, 2012

letatlin

精神を病んだ人たちの集まり、と誰かが指摘していたが、ムーミン谷の住人達は恐ろしく不完全で、みな、何かしら問題を抱えこんでいる。それはヘムレンさんのエピソードに顕著で、本来、ヘムレンさんは、主人公サイドに属する行動原理を忠実に実行しているだけなのに、ムーミントロール筆頭に、うざったい奴扱いである。ムーミントロールは冬の世界の中で、自分の価値観の揺らぎを感じて怯える。逆らおうとしてあれこれ画策しても、やることなすこと失敗ばかりである。まあ自己中のミイだけは相変わらずなのであるが。
そこで、おしゃまさんである。おしゃまさんは冬の倫理をムーミントロールに教える役割を担う。スナフキンは辛抱たまらず放浪の旅に出てしまうわけであるが、おしゃまさんはめげることなく困ったちゃん達の面倒を見続けるし、それがおしゃまさんの強さ、魅力として描かれる。
ムーミン谷には不愉快な人物、理不尽な問題を抱えた人物達で満ち満ちていて、それに対する現実的なソリューションとして、彼らをありのままに受け入れよ、という解答が作品世界中で常に示される。ムーミン谷には真の悪人はいない。氷姫にしたところで、子リスを殺そうと思ったわけでなく、愚かな子リスが氷姫の領分に無遠慮に踏み込んでしまったがために事件が起こる。

1 comment:

  1. はばたき式

    ムーミン谷の冬 / トーベ・ヤンソン

    by letatlin

    http://d.hatena.ne.jp/letatlin/20041112/p1

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