Thursday, May 3, 2012

カレル・ヴァン・ウォルフレン

どんなことについても説明がつく点で、イデオロギーは宗教に非常によく似ている。つまりこれは信念なのである。ただし現実によって裏づけをし、正当化することはできない。ところがこの欠陥ゆえにかえって熱狂的な支持を得るのである。
確たる信頼のおける手法を用い、経済を科学的に体系づけるかに見せかける新自由主義はイデオロギーである。「市場に代わるものはない」とサッチャーは表現したが、自分たちがその現実に生きているとする考え方に魅了された大勢の人々は、このイデオロギーを受け入れた。
アメリカやヨーロッパの富裕層も、こうした考え方をいたく気に入っていた。なぜならこのイデオロギーにしたがえば、自分たちの資産はまずまず安全に保たれ、インフレでその価値が目減りすることもなく、高いリターンの保証付きで貧しい国々に投資をしたり、後に金融危機を引き起こすもととなったデリバティブを利用することで、持てる金を元手にさらに金儲けをするための最適な状況が出現することになるからであった。
莫大な富を有する人々は、貧しい人々に世界の現実なるものを伝える際にも、そこに強い影響力をおよぼす。

1 comment:

  1. 日本を追い込む5つの罠

    by カレル・ヴァン・ウォルフレン

    ReplyDelete