税務会計情報ねっ島TabisLand タビスランドhttp://www.tabisland.ne.jp/index.htm9 脱税等の定義・時効・実刑と罰金の目安http://www.tabisland.ne.jp/explain/souzoku6/szk6_3_9.htm (1) 脱税・節税・租税回避の定義 相続税対策や申告に当たり、脱税・節税・租税回避の定義を理解し、税務調査等において不用意に課税されることがないよう留意したいものです。 脱税・節税・租税回避は一般には以下のように定義されています。(1) 脱税……課税要件の成立の事実を全部又は一部について故意をもって秘匿し、課税を不法に免れる行為 (2) 節税……租税法規の立法当時において、当該租税法規が予定しているところに従って最大限に租税負担を減少せしめる行為(例:資産が収用された場合に収用の課税特例を適用して租税負担を減少させる行為) (3) 租税回避……租税法規の立法当時において、当該租税法規が予定していない異常な法形式を採用して租税負担を減少せしめる行為 なお、租税回避行為の特徴としては次のような点が挙げられます。 (イ) 私法上はそれ自体は有効な取引であり、取引自体には仮装や隠ぺい行為は認められないこと (ロ) ただし、取引自体は不合理かつ不自然であり、時には法の乱用解釈が認められること (ハ) 時には主たる取引当事者以外のものを利用する等「う回行為」を利用する場合があること (ニ) 結果としてその者の課税価格(所得)を減少せしめ、税負担の減少となること (2) 税務上の時効 国税における時効期間としての定めは、国税通則法及び地方税法において、原則として法定納期限から5年間行使しないことによって、時効により消滅することとしています。そのため、納税義務は、原則として法定納期限から5年を経過すれば、時効によって消滅することとなります。ただし、偽りその他不正の行為によって免れ又は還付を受けた租税については、その時効は、原則として法定納期限から2年間は進行しませんから、この場合の時効期間は、実質的には7年間となります。 偽りその他不正の行為とは、「真実の所得を隠ぺいし、それが課税の対象となることを回避するため、所得金額をことさらに過小に記載した内容虚偽の確定申告書を提出する行為」と最高裁で判示し、単に確定申告書を提出しなかったという消極的な行為だけではこれに当たらないとしています。 国税の徴収権の時効については、その援用を要せず、また、その利益を放棄することができないため、時効完成後の納税は過誤納として還付されます。なお、時効完成の効力は起算日まで遡りますから、以降の利子税、延滞税も同様に消滅します。 また、税務調査などにより税金の増額更正を受けた場合には、納税義務の消滅時効の中断事由に該当します。そのため、増額更正の部分のみが納期限の翌日から新たに5年の時効期間が進行することになります。〈時効の具体例〉(1) 修正申告書を提出した場合……その提出日が法定納期限となりますので提出日から5年間となります。 (2) 平成14年5月31日が法定納期限の相続税につき税務署長から平成16年4月1日に増額更正を受け、その納期限が5月10日である場合……増額更正の部分について平成16年5月11日から5年間となります。 (3) 法定納期限から5年を経過していたが修正申告書を提出し納税した場合……その修正申告が、偽りその他不正の行為によらないものであれば、納税義務は、時効によって消滅しているため納税は過誤納金として還付されます。 (4) 売上の二重計上が発見され過大に納税していた場合……法定納期限から5年を経過していると還付請求権も時効により消滅するため還付金を受け取ることができません。 (3) 実刑の目安と罰金額 捕脱税額が1億円以上で申告率がゼロか著しく低く(捕脱税額が高く)、捕脱の手口も申告納税制度の根幹を破壊するような悪質なものは実刑率が高くなります。また、捕脱税額が3億円以上の場合にも、実刑率が高くなります。その場合、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金(脱税額が上回る場合には脱税相当額以下)に処し、又はこれを併科するとされています。 しかし、被告人が本税、附滞税の全部あるいは一部(相当部分)を納付している場合は、他に被告人に有利な状況(例えば、捕脱資金を個人的に費消していない等)があれば、執行猶予相当となることもあります。 実刑以外に罰金刑を併科することは、最高裁によって重加算税を賦課しても二重処罰に当たらないと判示されていますので、罰金額刑罰として併科されることになります。法の規定は、最高限度脱税額と同額までの罰金額まで併科が可能であるとされています。 実務上では、捕脱税額の20%から40%相当が多く、捕脱税額と同額の罰金刑罰はほとんどみられません。また、ほとんどのケースで、実刑のほか罰金刑が科されています。 なお、我が国の一般的な起訴基準は、単年度の脱税額が平均3,000万円から5,000万円であるといわれています。
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9 脱税等の定義・時効・実刑と罰金の目安
http://www.tabisland.ne.jp/explain/souzoku6/szk6_3_9.htm
(1) 脱税・節税・租税回避の定義
相続税対策や申告に当たり、脱税・節税・租税回避の定義を理解し、税務調査等において不用意に課税されることがないよう留意したいものです。
脱税・節税・租税回避は一般には以下のように定義されています。
(1) 脱税……課税要件の成立の事実を全部又は一部について故意をもって秘匿し、課税を不法に免れる行為
(2) 節税……租税法規の立法当時において、当該租税法規が予定しているところに従って最大限に租税負担を減少せしめる行為(例:資産が収用された場合に収用の課税特例を適用して租税負担を減少させる行為)
(3) 租税回避……租税法規の立法当時において、当該租税法規が予定していない異常な法形式を採用して租税負担を減少せしめる行為
なお、租税回避行為の特徴としては次のような点が挙げられます。
(イ) 私法上はそれ自体は有効な取引であり、取引自体には仮装や隠ぺい行為は認められないこと
(ロ) ただし、取引自体は不合理かつ不自然であり、時には法の乱用解釈が認められること
(ハ) 時には主たる取引当事者以外のものを利用する等「う回行為」を利用する場合があること
(ニ) 結果としてその者の課税価格(所得)を減少せしめ、税負担の減少となること
(2) 税務上の時効
国税における時効期間としての定めは、国税通則法及び地方税法において、原則として法定納期限から5年間行使しないことによって、時効により消滅することとしています。そのため、納税義務は、原則として法定納期限から5年を経過すれば、時効によって消滅することとなります。ただし、偽りその他不正の行為によって免れ又は還付を受けた租税については、その時効は、原則として法定納期限から2年間は進行しませんから、この場合の時効期間は、実質的には7年間となります。
偽りその他不正の行為とは、「真実の所得を隠ぺいし、それが課税の対象となることを回避するため、所得金額をことさらに過小に記載した内容虚偽の確定申告書を提出する行為」と最高裁で判示し、単に確定申告書を提出しなかったという消極的な行為だけではこれに当たらないとしています。
国税の徴収権の時効については、その援用を要せず、また、その利益を放棄することができないため、時効完成後の納税は過誤納として還付されます。なお、時効完成の効力は起算日まで遡りますから、以降の利子税、延滞税も同様に消滅します。
また、税務調査などにより税金の増額更正を受けた場合には、納税義務の消滅時効の中断事由に該当します。そのため、増額更正の部分のみが納期限の翌日から新たに5年の時効期間が進行することになります。
〈時効の具体例〉
(1) 修正申告書を提出した場合……その提出日が法定納期限となりますので提出日から5年間となります。
(2) 平成14年5月31日が法定納期限の相続税につき税務署長から平成16年4月1日に増額更正を受け、その納期限が5月10日である場合……増額更正の部分について平成16年5月11日から5年間となります。
(3) 法定納期限から5年を経過していたが修正申告書を提出し納税した場合……その修正申告が、偽りその他不正の行為によらないものであれば、納税義務は、時効によって消滅しているため納税は過誤納金として還付されます。
(4) 売上の二重計上が発見され過大に納税していた場合……法定納期限から5年を経過していると還付請求権も時効により消滅するため還付金を受け取ることができません。
(3) 実刑の目安と罰金額
捕脱税額が1億円以上で申告率がゼロか著しく低く(捕脱税額が高く)、捕脱の手口も申告納税制度の根幹を破壊するような悪質なものは実刑率が高くなります。また、捕脱税額が3億円以上の場合にも、実刑率が高くなります。その場合、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金(脱税額が上回る場合には脱税相当額以下)に処し、又はこれを併科するとされています。
しかし、被告人が本税、附滞税の全部あるいは一部(相当部分)を納付している場合は、他に被告人に有利な状況(例えば、捕脱資金を個人的に費消していない等)があれば、執行猶予相当となることもあります。
実刑以外に罰金刑を併科することは、最高裁によって重加算税を賦課しても二重処罰に当たらないと判示されていますので、罰金額刑罰として併科されることになります。法の規定は、最高限度脱税額と同額までの罰金額まで併科が可能であるとされています。
実務上では、捕脱税額の20%から40%相当が多く、捕脱税額と同額の罰金刑罰はほとんどみられません。また、ほとんどのケースで、実刑のほか罰金刑が科されています。
なお、我が国の一般的な起訴基準は、単年度の脱税額が平均3,000万円から5,000万円であるといわれています。