核兵器を絶対否定してきた私たちは、平和利用をも否定せざるをえない核時代に突入しているのであります。『核兵器絶対否定』を叫んできた私たちは、いまやきっぱりと『核絶対否定』の立場に立たざるをえないのであります。『平和利用』という言葉にまどわされて『核絶対否定』をためらっていたら、やがて核に否定されるでありましょう。
先日の国際会議で私があえて提起したテーゼは、『核分裂エネルギーを利用する限り、人類は未来を失うであろう』ということでありました。くりかえして申し上げます。『核分裂エネルギーを利用する限り、人類は未来を失うであろう』と。
巨大エネルギー、巨大開発、巨大生産、そして巨大消費という形態をとる核時代の産業文明は、いまこそその価値観を一大転換しなければなりません。価値観の転機とは何か。一言でいえば、すべて巨大なるものは悪であり、のろわれたるものである、いと小さきもの、いとつつましきものこそ美しいものであり、よいものであるということであります。シューマッハー博士の言葉を借りると”ビッグ・イズ・イービル(悪)、スモール・イズ・ビューティフル”ということであります。
私たちは巨大なる核エネルギー産業文明によって子孫のものまで使いはたし、プルトニウムのようなやっかいきわまる遺産を子孫に残すべきではありません。
『核絶対否定への歩み』 森瀧市郎 渓水社
ReplyDelete自らも被爆し、核兵器廃絶と被爆者援護に半生をささげた故森滝市郎・広島大名誉教授は「核と人類は共存できない」と語った。
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