Monday, September 5, 2011

田中宇

昨年5月、ガザに向かうトルコの支援船をイスラエル軍が襲撃して死者が出た事件で、トルコが国際司法裁判所でイスラエルを提訴することを決めた。法廷では、イスラエル軍が支援船を襲撃したことの合法性だけでなく、イスラエルがガザを封鎖し続けている政策の合法性についても審議されるだろう。
支援船襲撃事件をめぐり、国連では、親イスラエルのニュージーランド元首相らが作った調査委員会が、イスラエル軍の行為は違法でなかったと結論づける報告書を出している。これについてトルコ政府は、報告書は国連事務総長に提出されただけで、国連が承認したわけでないので、国際司法裁判所の決定の方が重要であり、だから提訴すると言っている。
パレスチナ自治政府(PA)を国家承認して国連加盟を認めることが、9月20日の国連総会で提起される予定になっている。トルコの提訴は、日程的に見て、PAの国連提案と連動している。
イスラエル国内では、政府のインフレ対策などの国内政策に不満を募らせた50万人規模の市民が反政府集会を開いている。イスラエルは、国際的にも国内的にも追い込まれた状態で、パレスチナが世界から国家として認められる日を迎えようとしている。

1 comment:

  1. PAは、国連への国家承認申請を安保理に提起せず、多数決で決まる国連総会に提起する。安保理に提起されると、米国が拒否権を発動するからだ。国連加盟の約190カ国のうち、130-140カ国がPAの国家承認と国連への加盟に賛成する見通しだ。
    パレスチナが国家承認されて国連加盟すると、パレスチナがイスラエルの悪事を国際司法裁判所や人権理事会、安保理などに訴えることができるようになる。パレスチナ問題は、イスラエルの「国内問題」から、イスラエルが「隣国」パレスチナを侵略する「国際法違反」の行為に変質する。イスラエルは国際的に「悪」のレッテルを貼られ、かつてのイラクや最近のシリアのように経済制裁される可能性が高まる。

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