Wednesday, September 12, 2012

広尾晃

村田修一は今、野球をやっていて楽しいだろうか。彼は昨年までのキャリアで251本塁打を打ち、セリーグ屈指のスラッガーとして巨人にやってきた。しかし、成績不振だったために原監督にまるで高校野球の補欠のような扱いを受けたのだ。
村田修一は悪いことをしているわけではない。本人は期待に応えようと打席に立っているのだが、結果が出せていないだけだ。無気力に見えたのかもしれないが、彼はプロとして10年のキャリアを積み、原監督が取れなかった本塁打王を2度も獲得した選手だ。いわば、マイスタークラスの選手である。成績不振に対する責任も感じ、何とか立ち直ろうとしていたはずだ。
NPBから選手がどんどん流出する一因は、こうした陰湿で、はたから見て楽しくもない「空気」にあると思う。野球を通じて人々を楽しませるのではなく、仕事的に、義務的に野球をさせられる雰囲気が嫌になって、実力者が逃げていくのだと思う。
私たちが見たいのは、素晴らしいプレーであって、どこかの会社のような、くだらない懲罰人事や、叱責ではない。

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  1. 村田修一は、悪いことをしたのか?|2012NPBペナントレース

    by 広尾晃

    http://news.livedoor.com/article/detail/6939893/

    村田修一は今、野球をやっていて楽しいだろうか。彼は昨年までのキャリアで251本塁打を打ち、セリーグ屈指のスラッガーとして巨人にやってきた。しかし、成績不振だったために原監督にまるで高校野球の補欠のような扱いを受けたのだ。

    村田修一は、日大からドラフト自由枠で横浜に入り、入団早々25本塁打を打つなど、天性の長距離打者として頭角を現した。2007、08年と連続で本塁打王。巨人にしてみれば、衰えが目立つラミレス、小笠原道大に代わる主砲として、大いに期待して迎え入れたのだ。

    しかし村田は期待に十分に応えることはできなかった。肝心の本塁打が昨日時点で11本。0.261、打点51.
    もともとここ数年、成績は下降線を描いていた。統一球導入の影響もあってか、昨年の20本はキャリア2番目の悪さだった。実質的に交換トレードと同じ扱いになったアレックス・ラミレスが、0.295 17本打点65をマークしているのと比べても大きく見劣りがする。

    村田修一は98年の横浜の優勝を知らない世代である。毎年チームは夏までにペナントレースをあきらめて、あとは自由に打つことが許された。そういう緩い球団と、ペナント奪還を旗印に戦う巨人とでは、環境が大いに異なる。そういうこともあって、実力が発揮できないのかも知れない。

    しかし、村田はリーグ屈指の強打者である。巨人も新人を獲得したのではなく、三顧の礼でこのスラッガーを迎えたはずだ。

    9月7日のヤクルト戦で1,2打席凡退すると、原監督は村田を引っ込めた。その上「今夜はもう自宅に帰っていい」と強制的に帰宅させた。9日のヤクルト戦でも、6回表二死満塁で打席が廻ってきた村田に代打高橋由伸を送った。
    村田はチームメイトの面前で「お前は信頼していない」「いらない」と指揮官に明言されたのだ。こんな屈辱はおそらく初めてだろう。

    村田修一は悪いことをしているわけではない。本人は期待に応えようと打席に立っているのだが、結果が出せていないだけだ。無気力に見えたのかもしれないが、彼はプロとして10年のキャリアを積み、原監督が取れなかった本塁打王を2度も獲得した選手だ。いわば、マイスタークラスの選手である。成績不振に対する責任も感じ、何とか立ち直ろうとしていたはずだ。

    村田はおそらく、野球というスポーツを生まれて初めて嫌いになったはずだ。「野球をやりたい」という気持ちはぺちゃんこになったはずだ。そしてベンチの中も凍りついたようになったと思う。

    本来、こういうときには、指揮官は「私は村田を信頼している。必ず立ち直ると信じている」というアピールをするものだ。人は、萎縮したり重圧を感じたりしたときは、力を発揮できないことが多い。特にベテランが不信になった時には、細心の配慮をするのが普通だ。それでだめなら、黙って先発から降ろせばいい。チームも、本人もメンバーから外れた理由は十分にわかっている。それ以上の恥辱を与える必要は無い。

    10日、村田は頭を刈って坊主になってナインと合流した。「反省しています」というところだろう。殊勝な心がけだが、これで結果が出なければどうなるのだろうか。丸刈りにした村田は、野球を楽しむことができるのだろうか。

    私はNPBから選手がどんどん流出する一因は、こうした陰湿で、はたから見て楽しくもない「空気」にあると思う。野球を通じて人々を楽しませるのではなく、仕事的に、義務的に野球をさせられる雰囲気が嫌になって、実力者が逃げていくのだと思う。

    私たちが見たいのは、素晴らしいプレーであって、どこかの会社のような、くだらない懲罰人事や、叱責ではない。

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