Saturday, September 29, 2012

鈴木邦男

僕は日本一の愛国者だと断言できる。「君が代」は5000回以上歌い、「日の丸」も5000回以上揚げた。靖国神社には500回も参拝したし、自衛隊の基地祭でストリッパーを呼んだと聞いて防衛庁に抗議をして逮捕され、釧路に日ソ友好会館が建つと聞けば「許せん」と思って抗議に行って機動隊と乱闘になり逮捕された。
左翼のデモのプラカードに天皇の似顔絵があればカーッとなって殴りこんで逆に袋叩きにあい、不敬な記事をのせた出版社を襲撃したこともある。東郷健が演出した舞台で天皇に扮した男がマッカーサーに扮した男に後ろからオカマを掘られている場面では、思わず舞台に駆け上がって大乱闘になった。愛国心がなければ、誰がそんな危ないことをやるもんか。僕はそうやって40年も右翼をしているのだ。
そのあいだ、僕は命を賭けてやってきたつもりだが、世の中はちっとも変わらなかった。変わりつつあるかなという小さな手応えもない。いつも「右翼のたわごと」と一蹴されてきた。
ところが最近、世の中が変わった。世相や国民の意識が奇妙に変わってきた。ソ連が崩壊し、東欧がなくなり、日本に左翼もいなくなった。そのとたん、である。にわか右翼、オタク右翼、新保守、ぷちナショナリストがどっとふえてきた。政府も文部科学省も日の丸・君が代を強制し、改憲も辞さないという雰囲気になってきた。日本一の愛国者と自負する僕でさえ戸惑うくらいだ。

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