Saturday, June 4, 2011

井上由美子

大久保真一 「そろそろ・・・俺もう、限界ですか?」
寅田富士子 「出来れば入院をお勧めします」
真一 「入院すれば完治するわけじゃないんでしょう?」
富士子「そういう病気ですから」
真一 「下手すりゃそのままってこともあり?」
富士子「その可能性は充分にあります」
真一 「助かります。いつもスパっと言ってくれて」
富士子「大久保さんだから申し上げています」
真一 「・・・入院は・・・辞退します」
富士子「でも、入院して血圧をコントロールすれば、破裂のリスクが少しは抑えられます」
真一 「俺はもう、両親とも亡くなっています。病院で長く生きるより、やりたいことをやって
    生きる方を選びます」
富士子「今、やりたいことをやれてますか?」
真一 「・・・かなり」
富士子「何か聞いてもいい?」
真一 「アハハ。恋ですよ、恋。それしかないでしょ?」

2 comments:

  1. 大久保真一「見直したよ。いい年こいて何プラプラしてんのかと思ったけど、
         いざとなったら常識あるじゃーん。。。なんて言わないよ」
    宮沢朋美 「・・・」
    真一 「結局は優等生なんだな」
    朋美 「優等生 ・・・」
    真一 「杉山くーんって、泣きながらむしゃぶりつくかと思ったのに、冷静に
       奥さんに謝罪して、もう会いません宣言か。つまらない女だな」
    朋美 「仕方ないでしょ。家族がいるのわかって好きになったんだから」
    真一 「杉山の女房に負けてたぞ。あっちはなりふり構わず感情をぶつけて
       きた。それだけ杉山を愛してるってことだよ」
    朋美 「仕掛けないでよ」
    真一 「あー、ムカムカしてきた。恋っていうのは、ものすごい破壊力がある
       んだよ。人を変えてしまうんだ。その覚悟もなく、美味しいとこだけ適当に
       味わって、傷つかないうちにさっさと手を引くなんてのは ・・・ ただの
       薄汚い情事だっつーの」
    朋美 「・・・」
    朋美 『大久保君の言ったことは真実だった。確かに私は、恋の美味しいところ
       だけを味わおうとしていたのかもしれない。でも、家族を、子ども達を捨て
       ることは出来ない。それもまた、私にとって真実だった』

    ReplyDelete