Monday, November 21, 2011

押井守

攻殻が評判になって、海外であれこれたくさん質問されたが、最終的に彼らの聞きたいことは一つ。『ゴースト』って何だ?ということ。ゴーストとは、魂ではない。スピリット(精神)ではない。フィジカル(肉体的・物理的)ではない何か。神が作ったものではなく自然過程として生まれるもの。あなたにも私にも花や犬や猫にもあり、もしかしたら人形にもあるかもしれない。つまりゴーストとは『思い』のこと。使い古した人形にはゴーストが宿る。日本人ならすぐ分かるが、欧米人には全く分からない。彼らの考える『魂』や『スピリット』はそんなあいまいなものではないから。

若者にやさしい映画を作った。やさしい、というのは、励ますとか慰めるのとは違う。『親身になれた』という意味で、それまでは若者のことはどうでもよかったのが目を向けるようになったということ。で、若い人のことを考えれば、本当のこと、残酷なことを言わざるを得ないと思い、ちょうどそのころ中学生や高校生と話す機会がたくさんあったので、こういう話をした。あなたたちは限りなく凡庸で無名で何の個性もないんだ、『一人一人がかけがえのない存在だ』なんて大人のウソを信じるのはやめて、早く幻想を捨てろ、夢を持つな、あなた方の未来にいいことなんて何一つないんだ――というところから始めたらどうでしょうか、と。

No comments:

Post a Comment