Sunday, July 8, 2012

高橋敏男

(今日の戦略論講座の講師は三井住友銀行取締役会長の北山禎介氏だった。)
1988年のバーゼルⅠ(BIS規制)、2004年のバーゼルⅡ、そして翌年のペイオフ全面解禁、また昨年(2010年)のバーゼルⅢが、銀行経営の健全化の足かせとなっている。
アメリカの、またヨーロッパの銀行経営次第でルールが変えられてしまう。日本がそのルールメーカーになれないため、ビッグバンまでは特有の護送船団方式で、大蔵省が全金融機関を護られていたが、金融機関も自由な市場に晒されることになった。
ルールメーカーになれない日本はいいところまで来ると、ルール変更で掻き回され損失を被る。それは日米同盟の関係上、仕方がないのだろうか?

2 comments:

  1. 高橋敏男のブログ

    ルールメーカーになれない日本!?

    by 高橋敏男

    http://3620065.at.webry.info/201106/article_8.html

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  2. 今日の戦略論講座の講師は三井住友銀行取締役会長の北山禎介氏だった。

    その講義テーマは「金融危機後の世界経済とSMFGの戦略」である。

    金融機関の “長期企業戦略” が如何様なものか?

    ・・・を知るには絶好の機会となった。

    ・銀行は資金余剰の富裕層と資金を借りたい層を仲介するサービス機関である。

    ・今現在の我が国では、

    企業も家庭も資金が余剰な状態にあるという。

    これは少し不思議な気もする。

    我に当て嵌めてみるとそうでもないと思うのだが、

    市場に出ている資金を平均すればそうなるのだろうか。

    なんとも羨ましい限りだが、

    それが経済成長を阻んでいると言われれば喜んでばかりも居られない。

    ・企業は直接金融で資金を調達している。

    ・社債、CPなどの直接金融の割合が多くなっているいう。

    ・また日本では借入金の比率が多いというのだ。

    そして「役務取引等の収入」が増加しているとも言う。

    三井住友銀行の場合には、

    ・2000年に10%だったものが2009年には20%に増加している。

    ・銀行業務の収入の基本は預貸金利鞘収入である。

    ただ1990年~2009年までの利鞘の日米比較では、

    日本が2%で推移しているのに対して、米国は5%前後で推移している。

    日銀のゼロ金利政策と経済状況の影響で、

    その利鞘収入が減少傾向にあるのだ。

    1994年以降、預金金利が下がったままである。

    そのため1990年の世界主要銀行の総資産ランキングで、

    トップテンに7行も入っていたのだが、

    2009年には三菱UFJ銀行一行だけとなってしまった。

    銀行の景気動向は母国の経済によって変わるのだ。

    邦銀の地位低下の要因は日本経済の低迷によるものである。

    因みに1995年から2003年までの赤字累積額は23兆円にもなる。

    1988年のバーゼルⅠ(BIS規制)、

    2004年のバーゼルⅡ、そして翌年のペイオフ全面解禁、

    また昨年(2010年)のバーゼルⅢが、

    銀行経営の健全化という名の足かせとなっている。

    アメリカの、

    またヨーロッパの銀行経営次第でルールが変えられてしまう。

    日本がそのルールメーカーになれないため、

    ビッグバンまでは特有の護送船団方式で、

    大蔵省が全金融機関を護られていたが、

    金融機関も自由な市場に晒されることになった。

    今後の世界経済は、

    以下の点でみると不確実である。

    ・先進国不動産市場の低迷

    ・先進国の財政赤字問題

    ・新興国経済の過熱と調整

    ・中東政情不安を背景とした原油価格等の高騰

    の4点である。

    ではどのような方向に舵を切ればよいのか?

    三井住友銀行の場合にはアジアの地場産業に眼を向けているという。

    現在4.4兆円ほどだが増加率は60%もあるという。

    確実にアジアに金融ニーズがあるというのである。

    中期経営計画の項では5つの戦略事業領域が紹介された。

    銀証連携もグローバル展開も入っている。

    中でもアジアからヨーロッパへの輸出は、

    4600億ドルから1兆ドルに増えているというので成長分野であろう。

    そのため三井住友ではグローバル化とアジアへの進出を目標に掲げている。

    ・目指すべき方向性、ビジョンの共有

    ・誰が責任を持って、いつ策定するのか

    ・環境変化に応じた柔軟な見直し

    が必要であると締めくくった。

    ルールメーカーになれない日本はいいところまで来ると、

    ルール変更で掻き回され損失を被る。

    それは日米同盟の関係上、仕方がないのだろうか?

    東日本大震災と福島原発事故に関する質問がフロアーから出た。

    それへの答えの中に復興が遅々として進まない原因が、

    菅首相の指導力の無さにあると言われた。

    まったくその通りである。

    今日の講義には頷く事ばかりだった。

    また1つ期待できる話があった。

    ルールメーカーには未だなれそうもないが、

    その仲間入りくらいは出来るであろう。

    そこで意見を言えばいいのだという。

    日本はこう考える。

    こうしたい、ああしたいと議論すればいいのだ。

    流石に会長さんである。

    ルールが度々変わることに怒りも沸こうが、そんな素振りは見せない。

    坦々とルールに従ってノルマをこなして来たように見える。

    本当は腹立たしいことであろうに。

    今日の講義の1時間30分は短かく感じた。

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